X-Pro1購入 マウントアダプターの使い心地は?

X-Pro1

Mマウントアダプタでエルマリート28mmを装着

いろいろ機材を整理してお金を捻出して、X-Pro1を買った。
基本的には、M8に35mm前後の標準域のレンズをつけたときに、換算28mm前後の広角を担当するボディが必要だという大義名分で導入することにした。今まで換算28mm相当のサブカメラとしては、GF1にG14mm F2.5を使っていたけど、どうもしゃきっとしないのでずっと新調したいと思ってきた。候補としては他にも、GXRのA12 28mmユニットとか、DP1 / DP1 Merrill、X100にワイコンとかいろいろあったけど、レンジファインダーライクなスタイルとハイブリッドビューファインダーに期待して、発売から1年遅れでX-Pro1をということになった。

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実は今回、予算の都合で純正レンズまで手が回らなかったので、とりあえず純正のMマウントアダプターに手持ちのMレンズで運用というなんとも中途半端なことになってしまった。ついでに言うと、換算28mm相当のXF18mm F2は微妙に評判が悪く、躊躇したというもの事実。というわけで、当面は、借りっぱなしのSuper Wide-Heliar 15mm F4.5で広角担当ということにしたいと思っている。

X-Pro1

借り物のSuper Wide-Heliar 15mm F4.5を装着で換算23mm相当。ファインダーは画角が違うけどライカの28mm SLOOZ

いつもなら、「X-Pro1買いましたー!わーい!」で終わるところだけど、今回はちょっと真面目にレビューを書いてみようと思う。純正レンズがないのであくまでもマウントアダプターでMFレンズを、M型ライカと併用するという前提で書くことにする。

まずは、ボディの使い心地について。
サイズは、M型ライカと同じくらい、今どきとしては大柄なだけあってホールド感はなかなかよい。
ファインダーの場所も適正なところにあってすっと構えたときに自然にファインダーのところに目がいく。CONTAXのGシリーズなんかはレンジファインダー風のデザインだけどファインダーが後方に出っ張っているうえにその出っ張りのやや右寄りにあるために、M型ライカの感覚で構えると、構える度にファインダーを探してしまってあまりよろしくない。その点、X-Pro1は常識的でM型との併用も問題ない思う。

X-Pro1の一番の目玉、ハイブリッドビューファインダーのOVFは、M型ライカのレンジファインダーのようにブライトフレームが浮かんで、さらにISO感度やシャッタースピードなどの設定情報、ヒストグラムまで表示されて、まさに夢のOVF。
ただ、残念ながらMFレンズの場合、OVFではピント合わせができないのでEVFでピントを合わせることになる。OVFで使っているときは、背面のコマンドダイヤルを押すことでピント合わせ用のEVFの拡大映像に切り替えることができる。さらにコマンドダイヤルを回すことで3倍と10倍が切り替えも可能。仕組みとしてはよく考えられていてこれで問題なく使えそうな気がするのだけど、実際に使ってみると、これが実にかったるいというか、直感的に使えない。普段レンジファインダーに慣れているとどうしてもOVFの中央に二重像を探してしまって、「ああOVFではピントを合わせられないんだった、EVFに切り替えないと」と、一瞬思考が止まってからコマンドダイヤルを押し込むという動作になる。とっさに何か撮りたいときには全く間に合わない。もちろん、ある程度慣れてしまえばいいのだろうけれど、レンジファインダーを使っているような軽快感とはほど遠いというのが第一印象だ。
なまじOVFがついているからレンジファインダー的に使いたくなるわけで、それならいっそのこと他のミラーレスやX-E1のようにEVFと背面液晶だけのほうがこういったストレスはなかったのかもしれない。

純正のマウントアダプターには電子接点があって、自動的に「レンズなしレリーズ」が「ON」になるほか、マウントアダプター上のボタンを押すことで「マウントアダプター設定」を呼び出すことができて便利。マウントアダプター設定には、21mm、24mm、28mm、35mmとカスタムで2種類のレンズを登録できて、焦点距離がEXIFに記録できるようになっているが、例えば僕の場合は、SWH 15mmと、Summicron 50mm、それにEFマウントアダプターでTS-E 45mmを使うつもりなので、そうなるとカスタム設定が2つというのは使いにくい。プリセットを4つ用意しなくても最初から6つ全部をカスタム設定できてもよかったのではないかと思う。
また、画質的にも、広角のMレンズでセンサーへの入射角がきつくなるようなタイプのレンズでは周辺がきちんと結像せずかなりボケるようだ。実は、マイクロフォーサーズのGF1でも同じようなことを経験しているのだけど、純正レンズの設計思想との違いが顕著に出てしまうのかもしれない。過去にたくさんのレンズがあってどんなレンズにもある程度対応させないとけないライカMのようなボディと違って、一からマウントを起こして、これから新しいラインナップでレンズを揃えていくことを想定したボディなのでそこは仕方がないところだろう。そういう意味では、Xマウントは過去のレンズ遺産を活かすマウントとは言えないのではないかと思う。
やはり、このカメラは、純正のAFレンズと合わせてシステムとして使うのが一番で、マウントアダプタはあくまでも補助的な使用にとどめるのがよさそうだというのがいまのところの結論だ。周辺解像のことを考えても、M型の相棒としては、GXRのA12 Mountのほうがいいのかもしれない。

その他に気になった点としては、金属外装とはいえ全体的に華奢な造りで信頼性に乏しいこと。特に背面のコマンドダイヤルは軟弱でちょっと触れただけでも回ってしまうような造りだし、電池室の蓋のロックも造りがちゃちな上に、電池はどちらの向きでも挿入できてしまうというちょっと考えられないような設計で、安心感がない。このあたりはちょっとの改良で使い心地が向上すると思うのでもう少しがんばってほしいところだ。
それから、三脚のネジ穴がレンズ光軸の中心にないので三脚使用時にはやや違和感がある。もっとも、M型ライカもフィルム時代にはホディの端に三脚穴があったことを考えると、まあマイナスとも言えなくはないけど、ミラーレスでライブビューなボディという意味では従来のM型ライカには(ビゾフレックスをつけなければ)できなかった三脚に据えてじっくりという用途にも力を発揮できるだけに残念な気もする。

というわけで、使い勝手的にはM型ライカと比べるとずいぶんネガティブな感想になってしまったけれど、それだけX-Pro1には期待していたともいえるわけで、買った直後にこんなことを言うのもなんだけど、後継機種に期待したいところだ。

次回は、画質面について書いてみたいと思う。ローパスレスで、ベイヤーではない新発想のカラーフィルター配列「X-Trans CMOS」は果たして?

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