Natural Glow

仕事でモノクロのポートレートを撮ることになって、久しぶりに勉強がてら「Natural Glow」を引っ張り出してきた。

「Natural Glow」は、1997年から不定期で(?)発刊されていたモノクロ写真専門の写真雑誌で、ちょうど今年の2月で休刊となった。
有名な写真家の作品とアマチュアの投稿で構成されていて、印刷もなかなかよかった。
いま手元にあるのを見てみたら、2001年までの号はすべて揃えていたようだ。
その後、長期旅行に出たこともあって2002年以降は集めなくなってしまった。サイトを見てみると最近の号はまだ在庫があるようなので、可能な限りもう一度集めてみるのもいいかなぁと思っている。

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あらためて「Natural Glow」を見て、やっぱりモノクロ写真はいいもんだなぁとつくづく思った。モノクロ印画紙の上には銀粒子の無数の「色」がある。それは、グレースケールのデジタル画像では逆立ちしたってかないっこない。印画紙の上の化学反応は8bitや16bitといったデジタルの世界とは無縁のものだろう。

もう、ずいぶん長いことモノクロ写真を撮っていない。

ぼくは、昔はほとんどモノクロしか撮らなくて、きれいな色のものを見てもカラーで撮りたいなぁなんて思わなかった。でも、デジタルになってからというものカラーが当たり前で、最近ではモノクロが必要な場合はPhotoshopでモノクロ化すればいいと考えるようになってしまった。
当然撮影するときには頭の中がモノクロになっていないわけで、あとからモノクロ化してもなんだかなぁというものばかりになってしまう。
カメラにモノクロフィルムを詰めていたときには、色には執着しないといういわば覚悟のようなものがあって、ファインダーを覗く目も被写体の形とか光の加減とかに自然と集中できていたんだと思う。

それに、なによりデジタルになって、ぼくらはヒストグラムに過敏になってしまった。もちろんヒストグラムは目安になるし、実際美しい階調の写真は美しいヒストグラムを描くのだけれど、ヒストグラムに頼ることで結果的に優等生的写真ばかりを量産するようになってしまったのではないか。

そういう意味では、もう一度モノクロをやり直すってのもいいかもしれない。

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久しぶりに写真集を見て栄養補給をしたために、ずいぶん自虐的なデジタル批判になってしまった。今後ますますモノクロ写真を取り巻く現状が悪化していくのは目に見えていることだし、現実的にはデジタルで写真を撮り続けるんだろうしというジレンマがある。

さて、頭の中を切り替えて素敵なモノクロ写真が撮れるといいのだけれど。

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