映画「ナミィと唄えば」

ナミィと唄えば

本橋成一の映画「ナミィと唄えば」を観に行ってきた。

本橋さんの会社「ポレポレタイムス社」から案内の封書が来て、京都シネマで上映していることを知った。こういうマメな心遣いはほんとに嬉しいなぁと思う。
実は、本橋さんとは以前に一度お会いしたことがあって、そのときは大失態を演じてしまったのだけど、それはまた今度書くことにします。

本題の映画はというと……。
前作の「アレクセイと泉」とはうって変わってエンターテイメント調に仕上がっていた。ところどころちょっとどうかと思う演出もあるのだけど、観たあとでじわっと効いてくる感じ。なるほど、本橋さんはそういいたいわけね、と。

三線弾きナミィおばあの人生を振り返りながら、おばあの今が同時に描かれる。
原作者である姜信子さんがそのまま映画の中に出てくるというのも新鮮な感じがした。

あまりぼくが書いてもうまく伝わりそうにないので、公式サイトの本橋さんの言葉を引用させていただきます。


僕がとまどったことは、おばあは自分の過去にほとんど興味がないということだった。かなりの辛い半生だったと思うのだが、決して苦労話にならない。だから、辛かった過去をインタビューして、今の明るい可愛い85歳のおばあを演出するというドキュメンタリー映画のひとつの組立にもならない。おばあの中には、いつもこれからの人生を楽しむことしかないのだ。過去のことより、明日のことの方が気になって仕方がないのだ。神社やお寺にお参りに行っても、歌三線でみんなを喜ばし続けたいから、どうか百二十歳まで長生きさせてほしいと本気でお願いする。
いつの時代でも御上や国家は自分たちの都合のいい歴史をつくっていく。それなら、みんなそれぞれに自分史をつくればいいのだ。昔出会った引退間際のサーカス芸人の千代子姐さんも過去の話はいつもその時々で違っていた。そんなことより、「今度からはこんな芸でお客さんを喜ばせたい、喜ばすんだ」と話がはずむ。過去の自分はこれからの自分でいい。だから、おばあの辛かったであろう半生も、楽しい人生にいつの間にか置き換えられるのだろう。
そんなわけで完成したこの映画は、歌って踊って、ちょっと楽しい映画になった。ぜひこの映画からおばあの人生をのぞいてほしい。
監督 本橋成一

そんなわけで、みなさんもぜひ機会があればご覧ください。

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