僕のコダクローム
コダクロームは現像プロセスが通常のE-6と違う外式リバーサルで発色が独特というのは知識としては知っていたけど、いままでモノクロ一筋だったからとくに興味がなかった。
ぼくにとってポジといったらプロビアくらいで、どうせどのポジを使っても一緒でしょくらいにしか思っていなかったのだ。
しかし、3月で日本国内の販売が終了するというニュースが流れてから、日本で手に入らなくなるまでに一度は使っておきたいと思うようになった。せっかくフィルムカメラが現役の時代に生まれたのだから、この歴史的なフィルムを一度くらい使っておかないと損じゃないかと思った。
そんなことを思いながらも、あっという間に販売終了の3月はやってきて気がついたら4月になってしまった。もちろん、大手のネット販売ではすでに売っていなかった。都会の店頭ではまだ在庫があるという情報もあったけれど、わざわざ買いに行っているひまもなかった。
いまになってあがいてみても、あとの祭りである。
あきらめかけていたときに、ふとオークションを覗いてみたら、ちょうど6本出品されているのを見つけた。
それで、運よく定価よりちょっと高いくらいの値段で6本手に入れることができたというわけだ。
乳剤番号は、1545。まあ、ぼくの場合は厳密な撮影をするわけではないし、ライカに入れてパシャパシャっと撮るだけなのでロットによる違いは気にしないことにする。というか、これが初めてのコダクロームだからどう違うのかさえわからないだろうけど。
ちなみに、「僕のコダクローム」でポール・サイモンは、「明るい色と夏の緑を僕らにくれる」と歌っている。
コダクロームは渋い発色が魅力のフィルムだけど、きっと当時はカラーフィルムといえばコダクロームが圧倒的に高性能だったのだろう。いまの感覚からしたらベルビアになるんだろうけど。
それから、「Nikon(ナイコン)のカメラを手に入れたんだ」というところも注目。73年のアルバムだから時代的にこのカメラはニコマートFTNとかニコマートEL、もしくはF2というところか。勝手な妄想としては、F2だとちょっとおおげさになってしまうのでニコマートシリーズのほうが似合うんじゃないかと思う。
ともあれ、念願のコダクロームで、さてなにを撮ろうか……。