オリエンタル
棚の整理をしていたら、オリエンタルダイレクトのFAX注文用紙が出てきた。
まだネットショッピングが一般的でなかった頃、「明日大量に印画紙がいるのに……」というときに重宝した。FAXで注文したら翌日にはクロネコヤマトが届けてくれる。
そのときからオリエンタルのサイトはあっただけれど、FAX注文用紙をダウンロードして注文する方式だったように思う。
その後、急激なデジタル化で印画紙の需要が減って、社名を「サイバーグラフィクス」に変更、現在はインクジェットやレーザー用紙とごくわずかの印画紙を販売しているみたい。
暗室作業をしなくなってすでに3年くらい経ってしまって、すっかりその存在を忘れていた。
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ぼくはオリエンタルのバライタ印画紙Gシリーズがいちばん好きで、展示のときはいつもこの印画紙を使っていた。まわりではたいていの人がILFORDを使っていたけれど、ぼくはオリエンタルにアイデンティティを感じていた。
気になって調べてみたら、Gシリーズは現在GFシリーズに名前を変えて存在してるようだったが、その他のラインナップは大幅に縮小されていた。
他のメーカーを見てみても、Agfaは倒産、ILFORDは今年2月にスイスの会社に売却されたあと今度は王子製紙に買収された。Kodakはモノクロ印画紙の生産中止を発表するなど、どこも思わしくない。
確実にひとつの時代が終わろうとしている。少なくとも3年くらい前は、新しい印画紙が登場したりして、盛り上がるまではいかなくとも失速する兆しはなかったと思うのだけれど……。
これからは、フィルムにしても印画紙にしても、あまり恵まれたとはいえない環境になっていくのだろう。ぎりぎり最後ではあったけれど、モノクロプリントの世界を知っている者としては、少し悲しくなる。でも、悲しくなってる本人がデジタルを率先して使ってるのだから仕方がない。
いくらものがよくても、売れなければ生産されないというのが今の世の中の仕組み。そういう意味では、写真をやる人には不幸な時代になってしまったんだなぁと思う。家電屋さんには売れればなんでもいい新製品が腐るほど溢れてるというのにね……。