22歳のイノウエ、旅についておおいに語る
引っ越しのとき荷物を整理していたら、あるMDが出てきた。
7年ほど前に探検の殿堂で旅の写真を展示させてもらったときのギャラリートークの様子が収録されたものだった。
当時22歳。旅から帰ってきたばかりで尖っていたのだろう。今からは想像がつかないほどしゃきしゃきとしゃべっている。
自分の声を聴くのは気恥ずかしいけれど、もはやそんなことを通り越して他人の話を聞いているような気分だった。自分のことなのに、まるで同一人物とは思えない。
当時のぼくは、なにか大事なものをたくさん持っているようだった。
この7年で徐々に失っていった大切ななにかを。
スガシカオではないけれど、あの頃の未来にぼくらは立っているのだなぁと想う。
当時のぼくは、今のぼくを見てなんと言うだろうか。
きっと怒られるに違いないと想う。
あれから7年、いまだに整理のつかない旅の写真たち。
「あの旅」から抜け出せないまま時間だけが過ぎていく……。
* * *
だから今日、久しく怠っていた旅の写真のスキャンを再開した。
いつか、この写真の整理が終わるとき、ぼくは次の一歩を踏み出せそうな気がする。
ついでに当時の写真が出てきたので、お恥ずかしながら載せてみた。
昆明のデパートのエスカレータで鏡に映った自分の姿。
彼に負けないように、日々生活しなければという自戒の念を込めて……。